熱中症について

 

書いておこう.
私は熱中症になったことがあります.イスラエルの学会に行き,余暇に砂漠の砦に観光に行ったのです.ガイドさんが「暑くなるので朝6時に出ます」と言うのに,話を聞かない看護師たち(今では看護大学の教授たちになっています)が出遅れて,現地についたときは最も暑くなる時間帯でした.帽子をかぶり,なるべく日陰を歩き,ミネラルウォーターをたくさん飲んでいたのですが,塩が足りずにダウンでした.インスタント味噌汁で回復しました.
というわけで,わたしは熱中症のプロです.治療ではなく,どうしたら熱中症になるかのね.

 1.暑いところに行く.2.塩分のない水を飲む.3.照り返しに気づかない.
この3つのどれかを守れば,熱中症になれます.
だから,予防には1.暑い日は外出しない.2.塩分と水を摂る.3.照り返しに気づく

この3.の照り返しは重要です.帽子だけではだめです.顔を覆いましょう.イスラム教のヘジャブ(ほっかむり)は合理的です.日傘は光線遮断率の高いものを使いましょう.雨傘とは別物です(日傘でも雨傘になるものもあります).
そして,子供です.昨日,小学生が野外学習でなくなりました.
子供は背が低いので照り返しをまともに受けます.さらに,あなたより皮下脂肪が少ないのであなたよりずーっと環境の影響をうけやすいのです.太陽の光が地面で照り返した紫外線,赤外線の物理的エネルギーが体の中に入ってきて熱になります.子供は体が小さいので体の体積に比較すると表面積は多いです.だから,普段は体内の化学反応=筋肉活動,脳の活動,蛋白の合成(基礎代謝)で生じる余熱を体表から発散させます.しかし,気温が上がると発散できないので,内部に熱がこもります(うつ熱といいます).エンジンのオーバーヒートと同じです.大切なことは,気温が体温を上げるのではなく,子供がいきていくための活動が作る熱が発散されずにたまるということです.だから,あなたが大した変化でないと思っても,気温の変化は子供の体の中に熱をためて,生命活動という化学反応を邪魔するのです.
生命活動の化学反応は酵素による反応ですから,熱により大きく左右されます.反応によって生じる熱の放散が大切なのです.
老人は基礎代謝が下がるので,内部の熱の発生が少なく,あなたより寒がりなことが多いです.普段の寒がりの習慣が誤った判断基準を作り,汗をかいていても寒いといいます.自分で暑寒の判断ができなくなっているかもしれません.このような方は呼吸や血圧を見て,積極的に対処が必要になるでしょう.

2週間前は十勝のサーキットでちょっと暑かったです.1週間前は徳島で梅雨時の湿気と暑さでしたが,まだ良かった.先の土日は仙台,福島,岩手で湿気もあり暑かったです.ふぅ.
2週間後は現在最高気温38度の名古屋です.こりゃ,ヘジャブをしても屋外には出られませんな.