大谷の負傷から考える

野球の大谷選手がアメリカに行くとき,ほとんどの解説者は「アメリカで活躍することを期待します」とコメントしました.しかし,北海道放送の野球解説をしている新谷博さんは「あぶないでしょ.このままなら必ず体を壊します.打撃はいいけど,ピッチャーやらしたら危ない.だって,投げるのヘタだもの.上と下があっていないから.あの投げ方ならアメリカに行っても早晩体を壊します」と言って,聞き手のアナウンサーを絶句させました.すごいね.
 そして,新谷さんの予言どおり(新谷さんは解説の中で,その場面でホームラン,ゲッツー,エラーなどの起こることを予言して,それが的中することで有名です.北海道では),大谷選手は右肘を壊しました.
 大谷選手は遺伝的に恵まれた体を持っています.育った環境も良かった.野球の能力はぐんぐん伸びました.いわゆる失敗や挫折がなかった.だから,自分の自分に対する期待(もちろん周囲の期待もありますが,彼にとっては「野球をやりたい」という思いが一番強い,もっと打てる,もっと投げられるという期待が強い)により,「自分の体に対する感覚」が隠されたのでしょう.それが体の上下が同調しない投げ方になり,右かかとの三角骨の手術をするまでになりました.ここで気づけばよかっのですが,「治った」と思いアメリカに行き,投げたりうったりしたのです.
 そして,肘が壊れました.私の予測ではトミー・ジョン手術が必要になります.その後,1年半くらいのリハビリが必要です.リハビリとしては,自分の体の感覚と,体の使い方の学習が必要です.体の使い方を理解すれば,今の鈍い状態から離れ賢い選手になれるでしょう.
 遺伝的素質,つまり肉体的素質に恵まれた選手はいます.そんな選手でも,自分の体について知らないのが大半です.だって学習するきっかけが必要だから.恵まれている人は,そのきっかけ=つまづき,失敗がないからね.
 ということで,自分のやりたいことがやりたいようにできていないことを認めましょう.早く見つけると修正可能です.体を壊しません.自分や周囲の期待に答えようとすると体を壊してやりたいことをできなくなります.大馬鹿者です.野球選手が故障すると「ガンバつていたのにね」というファンが多いです.わたしは違います.「大馬鹿野郎だな,本人もさることながら監督やコーチが悪い」と思います.
 日本ハムの栗山監督は偉い.大谷について質問されると「いつけがをするかとヒヤヒヤです」と答えていました.そのとおりだ.それに対してエンゼルスのソーシア監督は私の中では大馬鹿者です.
 あなたに子供がいるなら,小さな失敗をさせて,やりたいことと体がやっていることの違いに気づく体験をさせてあげましょう.それが親としての一番の気遣いです.
 そんなことを言葉にして考えやすくするツールがキネステティク・クラシック・ネオです.「なるほど」と思うなら受講してね.「嘘だ」と思うなら,受講してね.なにごとも体験しないで批評するのは愚かですからね.