健康診断

入ってきたときの姿勢を見て,「あーっ,心の病が体を支配している」と思いました.
 身体所見を取り,血液データの結果説明して,「身体的にもデータ的にも問題ないですね.また,来年受けてください.」と言うと,「お聞きしたいことがあるんです」
ほほほ,来ましたね(待ってましたよーーん).
 「お腹がときどきとても痛いんです.内科で大腸の検査やその他の検査をしましたが,『なんともない』と言われました.過敏性大腸症候群かもと言われました.テレビを見たり本を読んで過敏性大腸症候群の食べてはいけないものを守っていると,好きなものはみんなだめなんです.この病気はどこに行ったらいいんでしょう?」眉間にシワをよせて,話します.辛いんですね.
 いろんな事があるのですが,細部は省略して書きます.
 「あなたは真面目でしょ.何でも気になるでしょ.完璧にしなくちゃ気がすまないでしょ.他の人の言葉が気になるでしょ.言われる前に『ああ心配だ.嫌だな』と思うでしょ.」
 「はいっ,そのとおりです」
 「だから,あなたは他の人の前に出ると,すぐ緊張します.緊張は筋肉に力がはいることです.顔にも頚にも背中にも力がかかります.そうして,息を止めてしまいます.
はい,座ったままで楽にしてください.楽に座っていますね.では,頭を押します.ほらっ,頚や背中がたわんででしょ.では,(中略).押しますよ.ほらっ,どうですか?両腕をゆっくり振り回してください.楽に動くでしょ.私はこんなに(ぜいぜい)力を入れて頭を押しているのに.」
 「呼吸が楽になりました.肩も楽です.お腹も楽みたい!!!」
「あなたは自分で自分の体を苦しめて,体に休みを与えていません.だから,腸は動けない.でも,動かないわけには行かないので,思わぬときに無茶苦茶に動く.それが痛みになるのかもしれません.まず,自分が緊張したときに『息を止めていないか』をチェックしてください.そして,今やった動き方をやって頭の位置を調整してください.(大幅に中略)困ったら,病院で私を探してください」
 こんなことは健康診断の結果説明の範囲ではないです.病院には一銭のもうけにもなりません.時間もかかります.結果は保証されません.でも,健康を損なってつらい思いをしている人には必要なことです.
 儲からないことに精を出す医者は赤字に苦しむ病院では好かれないけどね.