記憶力が良い?

多くの人が私のことを記憶力がよいと思っています。

実は私は記憶力がない。極めて低い。人の顔を覚えません。名前を覚えません。未だに東北や九州にある県の名前も県庁所在地も知りません。関東に県がいくつあるのか東海地方がどこからどこかを覚えていません。教えられたかどうかも覚えていません。規則を覚えません。常識を覚えません。挨拶を覚えません。目上の人にはご苦労さまではなく、お疲れ様と言わないと失礼だということは、40代後半で知りました。数学の公式も覚えていません。2次方程式の解の公式も覚えていません。必要なときは因数分解の考え方で再確認します。
 わたしは教えられたことを、そのまま鵜呑みにしません。誤嚥するからね。
 一度ゆっくり自分の体験に落とし込んで、実際に行い細部で気になることがあると探求します。そこで調べたことは覚えています。大事なことですからね。それをお話すると「そんな細かいことまで覚えているんだから、記憶力が良いんだろう」と思われるのです。しかし、教えられたことは覚えられません。
 私にとって有用なのは、教えられたことを覚えることではなく、自分の気になることを探求することです。
 何かをやりたいときには細部まで探求してください。そうすると、仕事の質が高まります。
 「行われるべき価値のあるものは、丁寧におこなられるべき価値がある」とモーシェ・フェルデンクライスは言いました。
そのとおりです。物事が「9割がたできている」と言われるときは、「できていない」のです。
 できたと言うには100%できていなければなりません。100%できていれば、できた直後には注意が残ります。これが「残心」と呼ばれます。
 やりたいことは、一つ一つの段階を丁寧にやりましょう。一つの段階を重ねていくことで完成します。手順を覚えている必要はありません。
 私のやっていることは、単純なことなんです。子供と同じことなんです(社会的規則を覚えようとせず、好きなことばかりして、遊んでいる)。