科学を大切にしましょう

西洋医学は実証主義で作られています.証拠が大切です.動物実験を条件を一定にして行い,有効なものを臨床に持ち込みます.

6-8割の人に効果があれば有効とみなされます.2-4割は効果がない人にも使われます.

だから,「西洋医学では治療効果の上がらない患者さんがいる」ことは事実です.

東洋医学も実証主義です.ただし,動物実験は殆ど行わず,臨床で使って効果があったものを有効とみなします.根拠は,後付け,または他の分野の理論(陰陽,五行など)です.科学的根拠はありません.実際の体験の積み重ねです.だから,「自分の経験で言えば,このような症状の人にはこのやり方がきくからやってみる」といえば,論理的です.そこに理論を根拠にするから非科学的というそしりを受けます.当然です.

東洋医学は西洋医学のような実験科学から作られた医療ではありません.各人の経験から作られます.だから,施術者により効果は変わります.本当は理論は根拠になりません.そこを無理やり根拠のように言うからトラブルを招きます.

わたしは鍼灸も教わり実際に行いました.漢方薬も処方しています.だから,効果のある患者さんがいることは知っています.でも,あの理論は信用しません.あの理論で説得されるとうんざりです.

同じことは,他の療法にも言えます.振動,アロマ,逆行催眠,気,占星術,タッチング・・・.効果のあるときもあります.ないときもあります.それを認めて施術するなら問題ありません.でも,それらに理論をつけると破綻します.だって,それらの理論はいわゆる西洋の学問の物理学,天文学,解剖学,生理学,電磁気学・・・なのですから,木に竹を接ぐようなものです.

西洋医学も理論のとおりには,効かないときがあります.理論が間違えていることもしばしばです.さらに,治療者の解釈が間違えている,能力が足りないこともあります.

いろいろなことがあるものを,単純に言い切ることは,論理的に無理があります.非科学的になるのです.

モーシェ・フェルデンクライスは以下のように行っています.
「ある治療法が効果があったからと言って,その治療家の唱えている理論が正しいという証明にならない」

うーん,賢いなぁ.