徳島の作業療法士・理学療法士・言語聴覚士のセミナー参加の方々へ

2018/7にやすらぎ荘のセミナーに参加してくださった方々へのフォローアップページです.

嚥下と排泄だけのために2日間をいただきました.「2日間ももつだろうか」と思っていましたが,結果的には2日間で足りませんでした.

特に,統合のための整理ができませんでした.統合は学んだ言葉や体験を実生活の中で,自分のものにすることです.そのために,セミナーの後にまとめておくのが効果的でした.忘れました.いつも忘れるのです.それで以下に箇条書きに書きなぐっておきます.思い出してください.

嚥下は舌骨の上下の移動が必要です.これは昆虫のような外骨格動物=先口動物から,ナメクジウオ(原索動物),ヤツメウナギ・ヌタウナギ(円口類),サメ(軟骨魚類),タイ(硬骨魚類),サンショウウオ・イモリ(有尾両生類),単弓類->哺乳類,ヒトと進化したプロセスで,常に口腔から咽頭への取り込みが必要であったことから来ています.

口腔から咽頭に行くには,メガマウスサメのムービーでお見せしたように,舌骨が動いて咽頭が開くことが必要です.舌骨が動かなければ咽頭は開きません.この舌骨の動きは舌骨の上下の筋肉で行われます.

舌骨の上下の筋肉はサカナの中の筋肉です.咽頭弓の発生を解説しました(短かった!でも,長いと飽きるでしょ).顎の骨も舌骨もその周りの筋肉も,内耳の骨も,鼓膜張筋も咽頭弓,つまりエラから出てきています.エラの中の筋肉は体性筋(姿勢を作る筋肉)ではありません.

顎二腹筋は頭と舌骨と下顎骨をつないでいます.収縮すると舌骨を持ち上げるか下顎を下げます.舌骨が胸骨の方にひかれると頭を前に傾けます.しかし,これらの筋肉は頭の動きを作るための筋肉ではありません.もっと大きな胸鎖乳突筋がありますし,頭の位置をバランスよくすれば,項部の筋肉で調整可能です.咽頭前面の筋肉は姿勢の制御に使わずに嚥下に使うべきです.

体性筋だけで姿勢を維持できないと,体性筋以外の筋肉が動員されます.体性筋のついている骨盤が横や前に傾き,脊柱が歪むと体性筋ではない咽頭の筋肉も動員されて頭と胸の関係を維持しょうとします.こんな姿勢では嚥下は100%機能しません.形ではなく,脊柱の機能で嚥下の姿勢を見なければなりません.

摂食は,体全体の動きです.上肢を使うには脊柱の回旋が重要です.肩甲骨も鎖骨も動かなければなりません.鎖骨も肩甲骨もサカナのエラの骨からできてきています.サンショウウオになったときに肺呼吸をして鰓呼吸の意味が減ったときに,使わなくなった骨のDNAを使いまわして,鎖骨や烏口骨(->烏口突起),肩甲骨ができています.だから,肩甲舌骨筋というような一見,おかしな筋肉ができています.肩甲骨がエラの一部であることを理解するとわかるでしょう.

上肢は胸鰭の変形です.サカナの胸鰭は,胴体ではなくエラ(頭)から出ています.体幹と頭の動きの境目の頸部,その中の咽頭周囲の緊張は上肢の動きに影響します.

呼吸が背中でも行われることを骨格模型で見せました.腹部の前面ではなく,腰方形筋や外腹斜筋の弛緩でも横隔膜の動きで呼吸できることを体験しました.骨盤底筋の弛緩も呼吸に役立ちます.これらの筋肉を緊張させると呼吸は邪魔されます.

呼吸は脊柱全体で起こっていて,骨盤まで使われる,下肢の位置で邪魔されることをお見せしました.寝ているときの四肢の位置で呼吸が変化していること,クッションの入れ方で楽になることを体験しました.臥位の患者さんのいわゆるポジショニングのヒントになるでしょう.その時のクッションの入れ方が適しているか否かは患者さんが楽か否かでわかります.楽か否かは呼吸を感じればわかります.

自分の体が小さな動きで楽になることも体験しました.ですから,座っていても寝ていても,「小さな動き」「楽に呼吸できる動き」を提供することが大切です.外見で決めたり,角度で決めたり,圧を測定したりするのは,まったく違うことをやつています.

咽頭の緊張の低下,脊柱の楽な状態を提供するように骨盤の位置を提供する.骨盤の小さな動きをできて,呼吸が楽なように下肢の位置や状態を提供する.これが座位のボジショニングです.じつはこんなことはポジショニングなんて言葉をつけて語るべきことではありません.単に姿勢のお手伝いに過ぎません.ヒトの動きを理解すればね.

具体的にどこをサポートするかを教えました.足の裏,MP関節,かかと,大転子,上後腸骨棘,肩甲骨下縁.その時の評価(これも好きではない言葉)は,呼吸です.そして,社会とのコミュニケーションを取れるかです.つまり,上肢の機能,咽頭の発声(これは,やるの忘れました)の機能です.

発声の前に咽頭を開かなければなりません.そのヒントは「あくび指南」で教えました.あくびの探求をしてください.顎を外さないようにね.

顎関節の動きをムービーでお見せしました.口は二段階で開きます.開口2センチ位は楽です.それ以上になると下顎骨の関節突起が顎関節の受け側の突起を乗り越えなければなりません.使いすぎで関節円板を止めている組織が伸びると顎関節症になります.もし,顎の動きが悪い人を見たら2センチ以上の開口をやめてもらうとよいでしょう.だから,大きなスプーンで大きな口を開けるのは大変なことです.自分で嚥下できなくなった人には酷です.小さなスプーンが推奨されるのはそのような意味です.

外側翼突筋は上下2つに分かれています.その上側が顎関節の関節円板につながっています.前方に引きます.だから,下顎を前後左右に動かすと,関節円板に負担がかかります.食塊がないのに顎関節を動かさせるのは要注意です.

骨盤の前後傾は股関節の動きです.若いのにわたしより動きの悪い人がたくさんいました.呼吸に影響していますよ.自分が楽に呼吸するすべを放棄していて,患者さんに楽に歩く,楽に上肢を使う,楽に飲み込むことを提供できません.骨盤の動きは立位でも座位でも臥位でも脊柱の動きに影響します.呼吸に影響します.だから,股関節の柔らかい動きは生きるために必須です.

この股関節の柔らかい動き,骨盤の前後傾が性行為に必須です.この動きができないと不感症になるとモーシェ・フェルデンクライスは言いました.だから,セラピストは性行為にも理解を示さなければなりません.そうしないと,人類の滅亡に繋がります.

あーっ,疲れた.2日間のことを思い出すだけで脳は疲れました.ここまでにします.あとは,あなだか思い出したことを続けてください.忘れたことは,必要なときに思い出されます(多分).

今回は,ご参加ありがとうございました.ふーっ.

,ヒトの動きの言語化について学びたければ,キネステティク・クラシック・ネオを受講することをおすすめします.四国からなら広島の中本さんのところがおすすめです(露骨なステマです.んっ,言葉の矛盾).