胎児は羊水の中に浮かび、ほとんど重力のない世界に住んでいます。 ある日、突然、大きな圧がかかり、自分が浮かんでいた世界から、重力で地球に引っ張られる世界に押し出されます。 臍帯から受けていた酸素を遮断され、閉じていた肺が急激に開かれ、自分で呼吸することを迫られます。 突然、重力に引き落とされ、つぶされる環境に変わったのに、生きるために必要な肺の使い方も教わっていないのです。 もし、呼吸できなければ、死んでしまいます。 赤ん坊は文字通り必死で動きます。 そして、あるとき、横隔膜が動き、肋間筋がゆるみます。 空気が肺に入り、生きることができます。 それでも、上手に筋肉を使って呼吸することができません。 息を吐くときに、のどを含めた全身の筋肉は強く収縮し、「ぎゃー、ぎゃー」と声を出します。 この泣き叫んでいるときに、筋肉の使い方を学習し、楽に呼吸できるようになります。 「ああ、全身に力を入れなくても良いんだ」と気がつくのかもしれません。 全身の緊張が低下すると、呼吸しながら眠ります。 こうして、私たちは楽に呼吸して生きていくことを「学習」したのです。 |
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ゆっくり眠って目が覚めると、また苦しくなっています。 おなかがすいているのです。 子宮の中にいたときは、臍帯から栄養が来ていました。 10ヶ月の間、たった一個の細胞から分裂し、その何兆倍かわからないほど大きくなるための栄養はすべて臍帯から来ていたのです。 その臍帯はありません。 ふたたび、パニックになります。 体の筋肉が収縮し、泣き叫びます。 体の異常を示す表現は、筋肉の収縮しかないことを「学習」します。 |
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泣くと、誰かがやってきて、抱き上げて重力からすくい上げてくれます。 それでも、おなかから来る変な感じはやみません。 まだ泣き続けます。 すると、抱き上げた大人が、何かを口の中に入れてよこします。 口の中に入ったものを、吸い込み飲み込むことは、子宮の中でもやっていました。 胎児は羊水を飲み込んでいます。 羊水を飲み込み消化管から吸収し、臍帯を通して母体に返しています。 呼吸するより、飲み込む方が得意なのです。 喜んで飲みます。 赤ん坊の時には、成人に比べて喉頭が上の方にありますから、ミルクが気管の方に入ることはありません。 どんどん飲みます。 このようにして、おなかが減ったら泣くと、何かが来ることを「学習」し、ミルクを飲むことを「学習」します。 |
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このようにして、私たちは「学習」しました。 これが「学習」の原点です。 けっして、言葉を教わってから、「学習」が始まったのではありません。 「学習」は生物として生き残るために、生まれたときから繰り返してきたことです。 「何かが足りないときに、どのようにして問題を解決できるか」という質問をして、実践の中から答えを見つけることが「学習」です。 |
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このサイトには、いろいろなことが書かれています。 でも、その言葉や文字を読むことは「学習」ではありません。 紹介されている本を読んだり、セミナーに参加することが「学習」ではありません。 あなたの生活の中で、困ったとき、自分に何かが足りないと感じたときが、「学習」のチャンスです。 そのときに、することは、まず「どのようにして解決できるか」という問いを自分で作ることです。 ここで答えを考えて、わかったつもりになっては「学習」はできません。 その問いに対する答えを出して、実践で試すことが必要です。 そうすると、自分の考えたことと現実の違いがわかり、修正することができます。 この繰り返しで、自分の考えたことが現実にどのくらい近いかが感じられます。 このプロセスは、「科学」そのものです。 学習には「感じる」ことと「体験する」ことが必要です。 ですから、学習の結果はすぐには来ません。 学習の結果は、「だんだんと見えてくる」のです。 このプロセスに入りやすくしてくれるのが、本やセミナーです。 |
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「セミナーに出たときは、『わかった』と思うのですが、セミナーから帰ると忘れてしまうんです」という人が多いです。 「セミナーが学習の場だ」と思っているからでしょう。 失敗を恐れて、日常生活の中で実践しません。 じつは、「学習」は毎日の生活にあります。 セミナーや本で知ったと思ったことを、実際に試す実験室が自分の生活です。 気づいたことを実践して、確かめてみる、その中でまた気づく、こんなおもしろいことはないでしょう? 実践して、失敗したときに、本当に学習できます。 「失敗は学習の母」です。 本を読むということは、自分の体験して気づいたことに、どんな「名前」がついているのかを確認するだけです。 「学習」の本体は実践の中にあります。 |
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最初に書いたように、私たちは生まれたときから実験の連続で「学習」してきました。 赤ん坊のときは、天才的な科学者だったのです。 遊びという「実践」の中で、多くのことを学びました。 それなのに、・・・。 |
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