話が飛びました。

 頭から首、胸、ウエスト、骨盤と続く脊椎の中で、もっとも大きく動くのが頭と首の境目です。頭蓋骨、環椎、軸椎の3つで作られる動きとその下の5個の頸椎の前後左右への屈曲とねじりです。


 環椎と軸椎の間の関節面は斜めになっています。

 ですから、左のアニメーションのように、頸椎全体で横に回転するときには、自然にちょっと斜めに後ろを見ることになります。

 その頸椎の動きに合わせて、胸のところの背骨、つまり胸椎がたわみ、ねじれ、その動きがウエスト、骨盤、下肢と伝わっていくと、体全体で自然に振り返ることができます。

 このとき、頭の重さはすべて脊椎を通って、下肢から地面に落ちていきます。「見返り美人」の立ち姿は、そのようになっているのです。

 追記 「見返り美人」が洋服を着ていたら、もっとウエストを楽に使えるでしょう。和服は胸郭と骨盤の間のひねりを邪魔しますから、見返りには不利です。しかし、どんな環境にあろうとも、生き残るためには、その環境に適応することが必要です。この「見返り美人」は和服という環境に適応しています。不利な環境にも適応できることは能力が高いということです。その能力の高さは、「頸椎の自然な使い方」からできています。これはアレクサンダー・テクニークの教えるところです。