フェヒナーの法則


ウェーバーの法則は、「感じるか、感じないか」の境目の刺激の量についてでした。

フェヒナーは、「感覚の量」を測定しました。その結果は次のようになりました。

 100gに10gを足したときに増えたと感じる「感覚量」は、200gに20gを加えたときに増えたと感じる「感覚量」に等しい。

 つまり、「感覚量」は、増加した重量そのものではなく、その増加率、数学的に言うと、物理学的増加量の対数に比例することがわかりました。この関係はほかのすべての感覚にも当てはまります。

 たとえば、音の感覚量の単位はデシベルです。これは音の物理的エネルギーの変化分の対数になっています。音のエネルギーが100倍になると20デシベル、10000倍になると40デシベル増加します。

 これは人間の耳が、小さな音のときには、小さな変化を感じられるし、大きな音を聞いているときには大きな変化を同じくらいに感じるからです。

 そうなっているから、虫の声を楽しむこともできるし、ロックのライブを味わうこともできるのです。

 一般意味論のコージブスキーが、「科学と正気」の中に、「アリストテレス的考え方は、絶対的尺度で考えるが、一般意味論では相対的尺度で考える。そのほうが人間的である」と書いていたことと符合します。

 ウェーバーの法則とフェヒナーの法則は、結局、「刺激から受け取る感覚量は相対的なもので、ある一定の相対的違いができると、人間に『違い』として感じられる」ということです。

 両者を合わせて、ウェーバー・フェヒナーの法則と呼ばれます。