首の緊張

 自分の体の使い方について、楽しめましたか?

 「気づく」ことは、つらく楽しいことです。

 「今まで自分が愚かであったこと」に気づくのはつらいのですが、それに気づくと、「その愚かさに気づくことで、それを避けることができるかもしれない」という楽しさを味わえます。

 何かに「気づいた」ときには、必ず2つのことに気づいています。

 たとえば、先ほどのワークで、自分の楽な立ち方を発見したとしましょう。

 「楽な立ち方」が「気づき」の一つです。

 そのときに、もう一つのことに気づいたと理解していましたか?

 あなたはそのとき、「自分が気づくことができる」ということに「気づいた」のです。

 この2つめの「気づき」を得ると、立ち方以外のことにも「気づける」と気づくでしょう。

 ベイトソンははじめの方を、一次学習、後の方を二次学習と呼びました。

 
さて、アレクサンダーが最初に悩まされた、「首の後ろの緊張」とは、どんなものでしょうか?

 試してみましょう。

1. 椅子に浅く腰掛けます。

2. そのまま立ち上がります。どんな立ち上がり方でもかまいません。

3. 何度かくり返して、自分で一番楽な立ち上がり方を見つけてください。

4. 楽な立ち上がり方を見つけたら、次に行きます。

5. 椅子に座って、両手の人差し指の先を首の後ろ、頭と首のつなぎ目に当てます。

6. 頭を軽く動かすと、そこにある筋肉が動くのが分かるでしょう。

7. 指先をその筋肉に当てたまま、立ち上がってください。

8. そこの筋肉が、ビクッと動きませんでしたか?

9. そこの筋肉の緊張を今より減らす立ち上がり方と座り方を見つけてみましょう。

10. うまくできたら、思い出してください。

 自分は何かをしたのでしょうか?

 それとも、何かをやめたのでしょうか?


11. うまくできたときに、体に聞いてください。

 立ち上がることはつらいことなのか、それとも楽しいことなのか?


 これは、難しいと思います。

 私はうまくできないので、毎日、動きながら問うているのです。

 そうすると、毎日、「学習」できて、生きていることが楽しくなります。