介助法のパラダイムシフト

 今でも看護や介護の国家試験では、介助法はボディメカニクスです。

 「てこの原理」で「人を動かそう」とします。

 自らが、ボディメカニクスの介助をやられてみたら、動きたくなくなります。

 ボディメカニクスでは、被介助者をコンパクトにまとめて、動かないようにして、介助します。

 「てこの原理」を使うためには、そうしなければならないのです。

 「てこの原理」は2つの物体の間でしか使えません。

 人間のようにグニャグニャと動かれては、計算できません。

 ボディメカニクスを適用するために、丸めて固めなければなりません。

 サイバネティクスを使えば、メカニクスではできないコントロールができます。

 サイバネティクスを、介助に応用したのが、「介助のためのキネステティク」です。

 キネステティクは、人間の感覚をセンサーとしたコミュニケーションを教えます。

 その応用が介助です。

 人間の動きのすべてがキネステティクの研究対象です。

 褥瘡の根本的予防・治療戦略の第一は、「動きの支援」であるべきです。


 それが忘れられたのは、介助する人の「感覚」を無視したためです

 人間の動きを支援するには、人間の「感覚」が決め手なのです。

 キネステティクによる動きの支援は、基本的にフィードバックコントロールですから、最初から正解を求めません。

 暫定的に行ってみて、それに対する相手の反応を見て、インタラクションを変えていきます。

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