褥瘡は看護の恥

 かつて、ある病院が褥瘡を作ったとして裁判になりました。

 某国立大学の脳外科の副婦長が証言台に立ち、「体位変換をちゃんとやっていれば、褥瘡にはなりません」と証言しました。

 かくして、「褥瘡は看護の恥」と言われ、ドクターは診察せず、ナースだけで治療するという不思議な時代がありました。

 褥瘡の暗黒時代です。

 脳外科の患者さんは消化管や内臓は健康ですから、体位変換を2時間ごとにしていれば、褥瘡はたぶん防げます。

 しかし、内科では糖尿病や、腎不全その他の代謝異常のために、外傷が治りづらくなっています。

 ですから、この時代に「褥瘡は看護の恥」と断言するのは良いことではなかったと思います。

 しかし、この言葉が良くなかったと言って、褥瘡の対策に「動きの支援」を抜いて良いわけではありません。

 褥瘡を予防、治療しようとするなら、とにかく「動きの支援」が第一なのです。

 これなしに、接触圧や応力を議論するのは、実践に基づかない空虚な理論になります。

 褥瘡についての評価スケールは沢山でています。

 沢山でているということは、「どれも決め手ではない」ということです。

 実は決め手は、「感覚」なのです。
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