会話の「間」

 前のページで示した会話は調歩式インタラクションです。

 Aが話してBが聞き、次にはBが話してAが聞くというステップが繰り返されています。

 会話は基本的に調歩式に進行します。

 相手と同時に話すということは、相手には話させないというメッセージになります。

 しばしば、無意識にやっているのを見ますが、たいていは会話でなく口喧嘩になります。

 なぜ、会話は調歩式インタラクションにならざるをえないのでしょう?

 生きているシステムの「内側の時間」が「外側の時間」と違うからです。

 「外側の時間」は物理的に測定できます。「外側の世界」の1秒は「Cs133原子の基底状態の二つの超微細構造間の遷移における放射の9,192,631,770周期の継続時間」です。

 しかし、「内側の時間」は、外部からは測定不可能です。

 ですから、相手のシステムの中の時間の進み具合を確かめるには、その行動を観察しなければなりません。

 観察するためにインタラクションをとめている時間が必要です。

 それが「間(ま)」になります。

 会話における「間」は、こちらの与えた刺激に対する相手のシステム内での処理の進行状態を確認するためにあります。