ナルとトートロジー


 ちょっと難しく書いてみます。

 「ナル」と「トートロジー」という2つの耳慣れない言葉が出てきますが、最後の理解を容易にするための下準備と思ってくだ さい。

 Aでないものを非Aと書きます。

 これ英語ではnull Aと書き、ナル・エーと読みます。

 排中律からすべてのものはAであるか、Aでないかのどちらかです。

 つまり、BやCはAであるか、
非 A(ナルA)のどちらかです。

 「AならばBである」ときに、BがナルAであれば、 BはAであり、同時にAでないものとなり、矛盾律に従えば存在しないものです。

 ですから、Bは非A(ナルA)ではなく、Aであることになります。

 このよう にして、「BならばC」であるという文がついたときには、論理を進めると、AとCは同じものであると言えます。

 このとき、AとCは
同義反復(トートロジー)であると言います。

 高校までの幾何学は ユークリッド幾何学です。

 「同一平面上の平行線は交わらない」というのが公理です。

 この公理を3段論法で進めていくと、三角形の内角の和は180度である ことが証明できます。

 このとき、「同一平面上の平行線は交わらない」ということと、「三角形の内角の和は180度である」は同じこと、つまりトートロジー です。


 数学の証明はすべてトートロジーです。


 現代数学の基礎となる「論理学」を確立したのが、アリストテレスです。

 そして、アリストテレス論理学の3大公理は、ものごとを「Aと非A(ナルA)」の 2つに分けることを求めます。

 
二元論と言います。

 「Aで も非(ナル)Aでもないもの」は存在さえ考えられません。

 このように、ものごとを2つに分けて考えることが、分析することであり、現在の科学の基本になり ました。

 このアリストテレスの論理学には時間の変化という概念がほとんどないことを覚えておいてください。