ワーキングメモリー

 では、ワーキングメモリーの上での計算をやめたらどうなるか、試してみましょう。

 目の前に指を3本立てます。

 その指先を両目で注視しながら、手を左右に動かします。

 目は指先を見つめたままですから、頭が左右に回ります。 

 さて、指先の周りの光景はどうなりましたか?

 こんなもんじゃないでしょうか?

 次に、指をそのままで手を動かさないで、頭を動かして周りを見ます。

 目に入る光景はどうなりましたか?
 はじめの体験では、頭を動かしている間に、光景は流れます。

 しかし、後の体験では、光景は流れません。

 目は持ち主に断りもなく、目に入る画像が安定するように、勝手に動き、脳は都合の良いように画像を省き、足りない画像をワーキングメモリーの上で作っています。

 「百聞は一見にしかず」と言いますが、その一見だって、「そのまま」では見ていないのです。