知覚心理学と認知科学

ワーキング・メモリー仮説

 さて、ここでちょいと、ベイトソンから離れて、現代科学の先端に飛びます。

 コンピュータは計算をするときに、CPUを使います。

 メモリーも使います。

 ハードディスクも使います。

 CPUは中央演算装置Central Processing Unitの略です。

 演算=Process=加工です。

 CPUは、演算のためにデータを一時的に取り込み、演算するための入れ物に入れます。

 この入れ物をレジスタと呼びます。

 商店で現金を出したり入れたりする、あのレジスタです。

 簡単な加工なら、ハードディスクから取り出して、レジスタに入れて、足したり引いたりすればよいのですが、画像を処理するときには、レジスタだけでは足りません。

 メモリーを使って計算します。

 あなたも、足し算、引き算なら暗算でできても、連立方程式なら紙に書き出すでしょう。

 それと同じです。

 この紙は、一時的な記憶の場所です。

 ハードディスクから取り出してきたデータと、レジスタで計算した結果を一時的に蓄える働きと、この紙の上で書き換えながら計算する働きがあります。

 人の脳にもそんなメモリーがあると考えられています。

 ワーキングメモリーと呼ばれます。

 といっても、まだ仮説です(だと思う)。

 これを知覚と感覚について、当てはめると下のようになります。

 先ほどの図で「加工」と書いてあったところは、このワーキングメモリーの上で計算をしていることに相当します。