テントの支柱は、それ自体で立っているのではありません。 まわりからロープで引っ張り、その引っ張る力のバランスをとって、まっすぐに立っています。 脊柱も同じです。 脊柱の周囲で筋肉がひっぱっています。 脊柱周囲の靱帯は筋肉が引っ張りすぎたときに、脊柱を守っています。 支柱の「押し」とロープの「引き」のバランスで、テントは立ち上がっています。 このように「押し」と「引き」のバランスのことを、建築学ではTensegrity テンセグリティと呼びます。 このような構造物は、一部が受けた力を全体の変形で受け止めます。 一部の変化が全体に及びます。 ですから、脊柱の周りの筋肉を上手に緊張させてあげれば、小さな力で脊柱を動かすことができます。 逆に言えば、たとえ小さな力でも、脊柱のバランスを崩すように働けば、脊柱は大変な苦労を背負い込むことになります。 これが腰痛のもとになります。 急性の腰痛症をぎっくり腰といいます。 なにかを持ちあげたときに発症したりします。患者さんは、「ああ、腰の使い方を間違えた」と言います。 整形外科の医師も「持ち上げるときには、自分の腰を落として、膝を曲げて・・・」と指導します。 しかし、その前に自分の習慣的な小さな力でいつも脊柱をいじめていたのかもしれません。 毎日の生活の中で、脊柱の使い方を間違えていれば、脊柱は少しづつゆがみ弱くなるでしょう。 逆に、普段から脊柱にかかる力を感じて、よけいな緊張をやめれば、脊柱は長く伸びて、楽に使えるようになります。 きっと、腰が痛むことも減るでしょう。 それがアレクサンダー・テクニークの教えることです。 |
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