前のページの実験で、体の各部分と床の接触状況に変化が出たでしょうか?
もし、変化がなかったというのでしたら、もう一度、よく読んで繰り返して試してください。
それでも、変化がなければ、キネステテイクスのセミナーに参加してみることをお勧めします。
または、フェルデンクライス・メソッドか、アレクサンダー・テクニークのセミナーを受けてください。
何らかの変化を感じたという方は、読み進んでください。たぶん、わたしと共通の感覚を持っているのでしよう。
わたしは下腿を支えられただけで、自分の下肢が軽くなり、臀部と床の接触面が広くなり、息も楽になりました。
この実験では寝ている人ではなく、下腿を支える人自身が緊張を抜くことが必要です。
寝ている人は、支えてくれている人の体の緊張が低下することで、自分の下腿の筋肉の緊張、さらには下肢全体、そして全身の緊張を意識の下で感じます。感じたものは、コントロールできますから、自分の体の緊張を低下させられます。
「学習と理論」の中の「生理学」、「神経と筋肉の生理学」を読んでください。
体の緊張は、意識下の随意運動です。自分でコントロールできます。
下腿を支えるという実験で、自分の体の緊張が低下したということは、普段から意識しないままに、自分で体の筋肉を緊張させているということです。
今、あなたは自由に動けることでしょう。
自由に動ける人でも緊張しています。
自由に動くこともできない臥床した被介助者の体の緊張は、あなた以上でしょう。
最近の褥瘡学会では、体の外から来る接触圧による応力を問題にしています。
そして、エアマットレスが推奨され、研究されます。
しかし、人間自身の筋肉の緊張は考慮されていません。
介助する人間の感覚の鈍さもそのままです。
被介助者の体というシステムに発生する褥瘡の原因は、システムの中にあります。
そして、解決策もシステムの中にあります。
|