ド 耳に話し掛
けて ア わたしの耳、わたしの耳はふさがれていたわ。
わたしは 耳だったけど、全部ふさいで、聴かないようにしていた。
すべて拒否した。聴きたくなかった。
聞こえていたのはただ恐ろしい怒鳴り声だけ。怒鳴り声・・・。
おぞましくも、忌まわしい家族の中で、父だけが素敵だった。
でも、わたしは父の言うことを聴いたかしら?
いいえ、誰の言うことも聴かなかった。

ド おとうさん? ア
父は哀れだったけど、素敵だった。 ド お父さんに話し掛けて
ア お父さんが生きていたときにもっと愛してあげたかった。
お父さんはやさしくて、賢くて、教養があった。
でも、わたしはお父さんの言うことを聴かなかった。
全然聴かなかった。聴きたかったのに。
わたしの子供たちがお父さんの話を聞けたらよかったのに。
子供たちには話を聞かせてくれる父親もいないの。
まったく違う環境にいるの。
ド 何が聞こえるかな? ア 混乱しているわ。
父の声と叫び声が混じって、両方が聞こえる。 ド 何が聞こえるかな?
ア テープレコーダが回っている音が聞こえるわ。
聞こえるのはそれだけ。
でも、何かほかのものを聞きはじめたみたい・・・。
今まで、聴いていなかったものを聞いたのよ、フリッツ。
あなたとその才能の名声。
聴くために必要なすべてのこと、今までやっていなかったことを知ったわ。
耳を開く感じのすべてを。 ド
何が聞こえるかな? ア 何が聞こえるか?
わたし自身が「聞きたい」と望んでいる声が聞こえるわ。
ド まだ、耳が開いていないかな? ア 耳が開いていないかですって?
その途中よ、でも・・・、いつも言われたの、「でも、君は僕の話を聞いていないじゃないか。僕の言うことを聴いてくれたこと なんてありゃしない。」 ド 黙って、聞いて。
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