ライヒの性格分析
臨床心理士制度と社会臨床学会

 ライヒの業績は、心理学に「からだ」というものを取り込んだことにあります。

 「筋肉の鎧」という言葉を作り、「からだ」の緊張が、「こころ」の不調を招くことをはっきりと認めたことが、すばらしいことです。

 また、人間の自由を「道徳」が抑え込んでいること、それには「キリスト教」という体制、文化が大きく影響していることを指摘したことも、画期的でした。

 キリスト教と並んで、抑圧の根源となっている社会構造に着目した点も、先進的でした



 2006年現在、臨床心理士は法制化の動きはありますが、民間資格です。

 1988年に日本で臨床心理士資格認定協会が臨床心理士資格認定を開始したときに、反対した心理臨床家たちがいました。

 日本社会臨床学会を作りました。

 この社会臨床学会の設立理由は、ライヒの意見と同じです。

 現代書館の「カウンセリング・幻想と現実」という本に書かれていました。

 「社会構造が人間の心理に影響を与えている。

 社会構造の影響を認めず、個人が自分の心を社会に順応させる方向にしか働きかけないカウンセリングのやり方は、人間的ではない。



 カウンセラーは、クライエントに対して、「何を考えても、そのままで受け入れますよ」と言っても、決して社会に働きかけない。

 野球場で、「どこまでも走っていいよ」と言いながら、出口は一つしか開けていないようなものだというのです。

 ライヒの先見性がおわかりになるでしょうか?

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