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 マタイ伝の27章11節の記述です。


 口語訳

 さて、イエスは総督の前に立たれた。すると総督はイエスに尋ねて言った、「あなたがユダヤ人の王であるか」。

 イエスは「そのとおりである」と言われた。

 新改訳
  さて、イエスは総督の前に立たれた。すると、総督はイエスに「あなたは、ユダヤ人の王ですか。」と尋ねた。

 イエスは彼に「そのとおりです。」と言われた。
 
 新共同訳
  さて、イエスは総督の前に立たれた。総督がイエスに、「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、

 イエスは、「それは、あなたが言っていることです」と言われた。


 ほほう、翻訳によって、ちょっとづつ変わりがある。

 口語訳と新改訳では、イエスは「自分はユダヤの王である」と言っているようです。

 これでは、「イエスは政府を覆そうとしている」と理解されるでしょう。

 イエスは有罪が妥当です。

 しかし、新共同訳では、イエスは「自分が王である」とは、言っていません。

 「それはあなたが言っていることです。わたしが言っていることではない」と言っています。

 「自分は王であるとは言っていないのに、周りが自分を王と祭り上げているのだ、そんなことはわたしにとって大切なことではない」という弁明です。

 これなら、ピラトが無罪と言っても不思議はありません。

 新共同訳の方が、現実的です。


 ピラト総督の質問に対して、「わたしが王である」と言うのと、「それは、あなたが言っていることである」と言うのでは、状況の認識に大きな違いがあります。

 ここで、問題は一般意味論の問題になりました。

 英語の聖書はどうなっているのでしょう。

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