ポジティブ・シンキングの話をおかしいと思いませんか?

 わたしはとても操作的に感じられていやなのです。

 私の気になるところを赤にして書いてみましょう。


 コップに半分水があるとしよう。

 これを『コップに半分しか入っていない』と考えるのは、ネガティブ・シンキングだ。

 でも、『コップに半分も入っている』と考えるのがポジティブ・シンキングだ。

 同じことでも、『・・・しか』と考えると、がっかりしてしまう。

 でも、『・・・も』と考えると、『よし、やるぞ』という気になるかもしれない。

 だから、ネガティブ・シンキングをやめて、ポジティブに考えるようにすると良い。



 おわかりでしょうか?

 この人ははじめに『コップに半分水かある』ということを認めています。

 『・・・も』や『・・・しか』は「考えていること」だと認めています。

 、『コップに半分水がある』と感じていることを、考えていることと同じだと思いこんでいることに問題があります。


 ポジティブ・シンキングをするためには、原点よりプラスの方向に行かなければなりません。

 『マイナスの方向』を知らなければ、『プラスの方向』にはいけません。

 ベイトソンの言うように『違いを作る違い』が情報になりますから、マイナスを知らずに、プラスを知ることはできないのです。

 つまり、『ポジティブに考えよう』と思った瞬間に『ネガティブな考え』が浮かんできます。

 ポジティブ・シンキングの勧めは、かならずネガティブ・シンキングに裏うちされています。

 さらに悪いことに、このポジティブかネガティブかの物差しは、話しかけている人の価値観なのです。

 わたしは、ここに「人を操作しよう」という意図を感じるのです。