このようにして、教育界で「ピグマリオン効果」という言葉が使われ、評価が下がったために、大切なことが見失われます。

 この「ピグマリオン効果」の重要性は、教育効果ではありません。

 教育の中でピグマリオン効果を期待するのは、操作的です。

 そんなことより、大切なことは、「人は周りの人から、どのように扱われているかに合わせて振る舞う」ということです。

 人間の行動、社会活動、自己の認識、いわゆるアイデンティティの確立に関係していることが重要です。

 レディとして扱われるとレディとして振る舞うようになります。

 花売り娘として扱われると、花売り娘として振る舞うようになるのです。

 周囲からの刺激に反応して、人間は行動し、その行動に反応して周囲が変化するのです。

 これはサイバネティクスの社会学への応用です。

 そして、これがキネステティクの元となった「行動サイバネティクス」の教えるところです。

 
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