ゲーデルが「不完全性定理」を証明したので、理論はその理論自体で妥当性を主張できなくなりました。
論理体系学の確立を目指したラッセルの望みは崩れました。
理論はその外側から、妥当性を保証しなければなりません。
つまり、ある理論が妥当であるためには、基本となる前提を決めておくことになります。
この前提を「公理」と言います。
みんなで、「まあいいね。そんなとこで手を打ちましょう」という事項を決めておいて、話を進めるのです。
そうすれば、「公理」の上での理論展開は保証されます。
これを「公理主義」と呼びます。
ユークリッド幾何学とは「平行線は交わらない」ということを公理にして作られる幾何学です。
平行線が交わらないことをもとに、三角形の内角の和が180度であることが証明されます。
このユークリッド幾何学の公理を「平行線は存在しない」とすると、球面上での幾何学になります。
リーマン幾何学と呼ばれます。
そして、この幾何学は矛盾せずに平面上のユークリッド幾何学と同じ体系を作ります。
球面の上ではなく、双曲面の上でも同じように無矛盾の幾何学ができます。
ロバチェフスキー幾何学と呼ばれます。
リーマン幾何学とロバチェフスキー幾何学の2つを総称して非ユークリッド幾何学と呼びます。
このように、公理をもとにすると矛盾の無い理論体系ができあがります。
でき上がった理論を見ても、その正当性は評価できません。
その前提となっている公理が現実にあっているかどうかがポイントです。
実際の世界で使われる言葉について言えば、あらかじめ了解した言葉の使い方を前提にしています。
この前提の上に言葉で言葉を作ることができます。
実際に起こっていることを共通の了解のもとに表現することができます。
この、「あらかじめ了解している」ことが、「文化」、「習慣」、「常識」なのです。
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