カーシブスキーは戦争中の体験を基に考えました。

 「血なまぐさい戦争が起きるのはなぜか?」

 「なにが文明に影響を与えているのか?」

 「人間と動物の違いはなにか?」


 動物は生まれながらに、食べ物を求めて狩りをし、食べ物を集めます。

 空間を使いその個体の一代限りの生を生きていきます。

 人間は土地を耕し、必要なものを予測し経験から学び、学んだものを次の世代に伝えていきます

 
時間を利用し栄えていきます。

 カーシブスキーはこの人間独自の特徴をtime-binding(時間をつなぐもの)と名付けました。

 動物はspace-binding(空間をつなぐもの)です。

 
カーシブスキーは考えました。

 本来、人類の知恵は指数関数的に進歩するはずだ。

 人間は「時間をつないでいける」

 動物は「空間を移動するしかない」

 両者の間には大きな違いがある、

 それなのに、人間がほかの動物と同じようなものであるとして教育している。

 また、言葉は本来「時間をつないでいける」ものだ。

 しかし、言葉を現実とはかけ離れた言葉だけの言葉にして、現実にあわない空虚な理論を教えている。
 
 これが「人間という実体」を忘れ、世界大戦のような出来事を起こす原因だ。

 この考えを支持した友人に励まされ、1921年、カーシブスキーは、”Manhood of Humanity: The Science and Art of Human Engineering”(「人間性の成熟:人間工学の科学と技術)邦訳なし)を出版しました。

 初版は6週間で売り切れました。

Science and Sanity

 1928年から1933年までかけて、カーシブスキーは"Time-Binding: The General Theory"を書きました。

 出版の土壇場で、題名を"Science and Sanity: An Introduction to Non-Aristotelian Systems and General Semantics"(「科学と正気:非アリストテレス的システムと一般意味論への招待」)に変えました。

 この題名の方が自分の研究の内容をよく示していると感じたのです。

 1933年に出版されました

 (「科学と正気」題名だけ翻訳されて、内容は翻訳・出版されていません。700ページもあり、とても読み切れません)。