私の好きな簡単な、ワークをご紹介しましょう。

 このワークは、何かで読んだのですが、どこで読んだのか思い出せません。

 ここでは、椅子に座ったやり方を紹介します。

 立って行なうこともできます。

 簡単ですから、わたしはデパートのエスカレータで上っていくときや、ホームで電車を待つ間にやっています。

 やるたびに、自分の「体」を思い出します。私のお気に入りです。

 ただ、私はフェルデンクライス・メソッドのプラクティショナーではないので、自分のやっていることを紹介するだけです。

 やってみて、おもしろそうだなと思ったら、本を買ったり、プラクティショナーを探してください。

 けっして、読んだだけで分かったと思わないようにしてください。「世界」は体験しないと分からないものです。



 背骨の使い方を感じる


以下のことを良く読んで、頭に入れるか、テープに吹き込んでください。

1. 椅子に座ります。背当てに背中がつかないくらい、浅めに座ってください。

2. 体を楽にします。両方の掌を天井に向けて、両膝の上に楽に置きます。これ以上楽には座れないと思うくらい楽にして座ります。

3. 目を閉じてください。

4. 今の体の感じをチェックしてください。顔、首、頭の後ろ、背中、胸、肩、上腕、前腕、手、指先、ウエスト、臀部、大腿、下腿、足、足ゆびが、どんな感じかチェックしてください。このときに、体に触れたり、チェックするところを動かしたりしないでください。ぼんやりしているところは、ぼんやりしていると感じていることを認めることが大切です。

5. 目を閉じたまま、頭を楽にして右側に回します。「楽である」ことが大切です。可動域を競うのではありません。「楽に」動かすのです。

6. 「ここまでが楽な動きの限界だ」と思うところで止めます。それ以上回したら、痛みが出そうでしょ。

7. そこでゆっくり目を開けます。自分の視線の先にあるものを見ます。そこまでが、右側に頭を回したときの、「楽な動き」の限界です。

8. 目を閉じて、ゆっくりもどります。最初の位置に戻します。

9. 首には頸椎が7つあることを思い出してください。

10 また、楽に右側に頭を回していきます。今度は、頭の下には、頸椎が7つついていて、ひとつ、ひとつの頸椎が回って、頸椎全体がねじれることをイメージしてください。頭、頸椎の一番目、二番目、・・・7つ回します。

11. 先ほどと同じように「楽な動き」をします。先ほどと同じところまで回すのではなく、同じく楽なところまで回します。

12. 「これ以上回したらつらくなる」と感じたら、そこで止めて、ゆっくりと目を開けます。

13. 何が見えるでしょう?風景は先ほどと同じでしょうか?

14. 目を閉じて、ゆっくりと楽なままで元に戻ります。

15. 今度は、胸椎が12個あることを思い出してください。

16. また、楽に右に頭を回していきます。頭が回って、頸椎が、上から順番にひとつづつ7個回ります。そのあとに、胸椎が上から順番に回ります。1番、2番、3番、・・・12番まで回ります。意外と上肢に力が入って邪魔しているかもしれません。上肢が胸郭の動きを邪魔しないようにしましょう。また、決して、力を入れないように、痛みを感じたら行き過ぎです。

17. ゆっくり目をあけます。また、風景が違っているかもしれません。

18. 自分の目の前に見えるものを確認したら、目を閉じてゆっくり戻ります。

19. 今度は、腰椎が5個あることを思い出します。

20. 頭を楽にゆっくりと右に回します。頭、7つの頸椎、12個の胸椎、そして腰椎が上から順番にひとつづつ、1番目、2番目、3番目、4番目、5番目まで回ります。

21. 腰椎の5番目まで回ったら、ゆっくり目を開けて、見えるものを確認します。先ほどと比べて、風景はどのように変わったでしょう?

22. 風景を確認したら、目を閉じてゆっくり戻ります。速くチャッチャッと戻しては意味がありません。

23. 元に戻ったら、骨盤をちょっと動かしてみます。両膝を交互に前に出すと、骨盤がちょっと回ることに気づくでしょう。そこまで使えるかもしれません。

24. 頭を楽に右にゆっくりと回します。頭、頸椎を7つ、胸椎を12個、腰椎を5個、楽に回して、最後に骨盤を楽にちょっと回します。そこでゆっくりと目を開けます。風景はどうなりましたか?

25. ゆっくり楽に元に戻ります。

26. 今までは、すべて右側に回してきました。今度は左側で行ないます。ただし、イメージだけです。実際に動きません。

27. 目を閉じて、イメージだけで、頭を左側に、楽に回します。そのまま、胸椎の1番目、2番目、3番目、・・・12番目、腰椎の1番目、2番目、・・・5番目、そして骨盤を楽に回します。

28. イメージの中で、回るのを止めます。実際には目を閉じたまま、目を開けることをイメージします。

29. 今までとは、風景が違うかもしれません。

30. イメージの中で、体のひねりを戻します。

31. 今度は、実際に1回だけ、左に回します。

32. 目を閉じて、、頭を左側に、楽に回します。そのまま、胸椎の1番目、2番目、3番目、・・・12番目、腰椎の1番目、2番目、・・・5番目、そして骨盤を楽に回します。

33. 回るのを止めます。目を閉じたまま、目を開けて、風景を確認します。

34. ゆっくり戻ります。

35. 戻ったらゆっくり目をあけます。世界はどう見えていますか?

   今までと同じ世界ですか?世界の明るさはどうなったでしょう?

   呼吸はどう変わったでしょう?

   空気の存在を感じるかもしれません。

   背中の「感じ」はどうですか? つらいですか?

 もし、楽だと感じたのなら、最初に自分が「これ以上、楽には座れない」と判断したのは、誤解だったのかもしれません。

 もし、自分の誤解に気づくことがあれば、今、あなたは今までとは違う学習方法を手に入れたのかもしれません。