筋肉の緊張を低下させる 3

 前のページの実験で、体の各部分と床の接触状況に変化が出たでしょうか?

 もし、変化がなかったというのでしたら、もう一度、よく読んで繰り返して試してください。

 それでも、変化がなければ、キネステテイクスのセミナーに参加してみることをお勧めします。

 または、フェルデンクライス・メソッドか、アレクサンダー・テクニークのセミナーを受けてください。

 何らかの変化を感じたという方は、読み進んでください。たぶん、わたしと共通の感覚を持っているのでしよう。



 わたしは下腿を支えられただけで、自分の下肢が軽くなり、臀部と床の接触面が広くなり、息も楽になりました。

 この実験では寝ている人ではなく、下腿を支える人自身が緊張を抜くことが必要です。

 寝ている人は、支えてくれている人の体の緊張が低下することで、自分の下腿の筋肉の緊張、さらには下肢全体、そして全身の緊張を意識の下で感じます。感じたものは、コントロールできますから、自分の体の緊張を低下させられます。

 「学習と理論」の中の「生理学」、「神経と筋肉の生理学」を読んでください。

 体の緊張は、意識下の随意運動です。自分でコントロールできます。

 下腿を支えるという実験で、自分の体の緊張が低下したということは、普段から意識しないままに、自分で体の筋肉を緊張させているということです。

 今、あなたは自由に動けることでしょう。

 自由に動ける人でも緊張しています。

 自由に動くこともできない臥床した被介助者の体の緊張は、あなた以上でしょう。


 最近の褥瘡学会では、体の外から来る接触圧による応力を問題にしています。

 そして、エアマットレスが推奨され、研究されます。

 しかし、人間自身の筋肉の緊張は考慮されていません

 介助する人間の感覚の鈍さもそのままです。

 被介助者の体というシステムに発生する褥瘡の原因は、システムの中にあります。

 そして、解決策もシステムの中にあります。

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