ロゼッタストーンという名前は聞いたことがあるでしょう。 1799年にエジプトのロゼッタという町でナポレオン率いるフランス軍が見つけました。 400Kg以上もある大きな石に3種類の文字が書かれていました。 ギリシア文字、エジプト民衆語、ヒエログリフ(聖刻文字)の3つでした。 ヒエログリフは石などに書き付けるための特殊な文字で、それまで解読されていませんでした。 一つ一つが神聖な意味のある文字と考えられていました。 ロゼッタストーンに書かれたギリシア文字はすぐに読むことができましたが、文法が分からないヒエログリフは読めませんでした。 解読の研究に20年の歳月が流れました。 1822年、トマス・ヤングとジャン・フランソワ・シャンポリオンによって解読されました。 ヤングとシャンポリオンはプトレマイオス、クレオパトラという名前を探しました。 その結果、ヒエログリフがそれまで考えられていた表意文字ではなく、表意文字と表音文字であることを証明しました。 漢字から万葉仮名ができたようなものでした。 この後、ピラミッドに刻まれたヒエログリフも解読できるようになりました。 このようにヒエログリフの解読には、ギリシア語との対訳であるロゼッタストーンが必要でした。 文字だけでは解読不能でした。 ヒエログリフを書いた人の頭の中にあった情報を知るには、出てきた言葉を解読する辞書が必要でした。 それがロゼッタストーンでした。 ロゼッタストーンがあり、そこに書かれたプトレマイオス、クレオパトラという実体を示すことが、ヒエログリフの解読につながりました。 言葉を理解するには、その言葉を現実・体験と結びつけることが必要です。 北アフリカでエジプト文明が栄えた頃、その南側でヌビア文明と呼ばれる文明が栄えていました。 水を神聖な献げ物とする神殿が残されています。 遺跡からはエジプト文明に匹敵する芸術品が発掘されます。 エジプトの記録にもヌビアの歴代の王朝についての記述が見られます。 また、ヌビア文明の遺跡にも刻まれた文字が発見されています。 コプト語やギリシア語で書かれたものもあります。 しかし、古代ヌビア文字を解読する辞書はありません。 ヌビアには物体として遺跡は残されています。 言葉も文字として残されています。 しかし、その両者を結びつける「辞書」がありません。 ですから、書かれている古代ヌビア文字はまだ何も伝えられません。 「言葉」だけでは「意味」は伝わりません。 「言葉」そのものには「意味」はありません。 「言葉」が機能するには、受け手の中に「言葉」の「意味」を作り出す「共通の辞書」が必要なのです。 |
|
「さあさんの秘密の小窓」のヒエログリフ |