人間性心理学の臨床応用として、心理療法が出てきました。
ロジャースのクライエント中心療法、バールズのゲシュタルト療法、エリスの論理情動療法などがあります。
この3人の療法の実際を見せてくれる「グロリアと3人のセラピスト」というビデオがあります。
おもしろいです。3つのセラピーの違いがよくわかります。
このビデオの主人公はクライエントのグロリアです。
グロリアは思い込みが強く、見栄っ張りで、依存心が強く、感情的です。
しかし、本人は知的で賢い人間だと思い込んでいます。
この「自分の思い込み」、「感情」、「行動」の3つの間のせめぎあいが苦しさの原因です。
人間に共通の難問です。
ロジャースは、グロリアの話を聴いて、理解し、それを示します。
ロジャース自身の価値観や判断は入れません。
グロリアは権威ある人間からの指示を欲しそうなのですが、ロジャースは指示を出さず、グロリアの持っている価値と能力を支持し、肯定します。
自分を支持、肯定されたことでグロリアは自分の能力を感じ、問題に自分で立ち向かい、自分で決める強さを得ます。
このビデオのロジャースは、自らの理論を体現しています。
しかし、ロジャースのクライエント中心療法は、ロジャースという個人の性格から出てきているカウンセリングであり、テクニックとして真似ても、うまくいかないことも明白です。
治療の良し悪しはセラピストの人格・個性で決まるようです。
私にはロジャースと同じことはできません。
ですから、尊敬はしますが、好きではありません。
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