ライヒの性格分析


「性格分析」
岩崎学術出版

 この年に、「性格分析」を出版しています。

 この本は、精神分析を志す分析医の卵にとってバイブル的教科書であると、絶賛されました。

 そして、同じ年にヒトラーの台頭に危機感を感じ、「ファシズムの集団心理学」を著わしました。

 この本の中で、ライヒは、「ファシズムは性的抑圧の症状である」と書きました。

 そのため、ナチスに目をつけられ、ドイツの新聞は女たらし、共産主義者、フリーセックス信奉のユダヤ人と非難しはじめました。

 身の危険を感じ、オーストリアへ戻り、デンマーク、そしてスウェーデンに逃げました。

 1934年には、ノルウェーに行き、オスロ大学の心理学研究所に招かれました。

 この年、国際精神分析協会(IPA)は、政治的理由からライヒを除名処分としました。



 ライヒは、人間が自由になることを願っていました。

 人間の自由のために、社会の改革が必要と思い、マルキシズムに傾倒しました。

 しかし、その共産党から「精神分析はブルジョア的だ」と非難され、除名されました。

 人間の自由のために、性への不当な道徳干渉をやめさせようとしました。

 しかし、国際精神分析協会はヒットラーをおそれて、除名しました。

 人間の自由を願ったライヒは、他の人間から疎外されたと感じました。



 この後、ライヒはマルクス主義の実践されたロシアをみて、共産主義、社会主義に別れを告げています。

 しかし、ライヒが共産党員であったことは、一生を終えるまで影響するのでした。

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