ライヒは、キリストは子供のように自由な人であったといいます。
キリストは、貧民や泥棒や娼婦とも分け隔てなく、つきあいました。
神の言葉を伝えるために、どこにでも行きました。
汚れのない人ですから、どこで何をしようと、汚れないのです。
キリスト自身は、人々にこうしなさい、ああしなさいとは言いません。
道徳的な抑制はありませんでした。
自分自身、当時のユダヤ教社会に対して、反社会的行動をしていたのです。
まぶしいばかりに自由な人だったから、多くの人々がキリストの周りに集まったのだと言います。
しかし、そのキリストをねたむ人々がいました。
従来の道徳や習慣に縛られた人々は、自由な人をねたむのです。
人々は、よってたかってキリストを非難し、殺すようにしました。
キリストという人物も知らず、何を語るかも知らず、うわさ話や伝聞でだけ、キリストの人物を想像して非難したのです。
その人々がキリストを殺しました。
このように、事実を知りもせず、ただ思いこみだけで、感情を高ぶらせて、理性的な判断をできなくなることは、一つの病気のようです。
この病気は伝染病のように広がります。
ライヒは、これを "Emotional Plague 感情のペスト(伝染病)" と呼びました。
大衆に、本来の自分のものではない感情が伝染していくのです。
|