意識と前意識と無意識のたとえ話

 フロイトは意識、前意識、無意識について、うまい表現をしています。

 心の中とは、部屋の中に机があって、そこに検閲官がいるようなものだと言います。

 検閲官が見たものが、「意識」として認識されます。

 検閲官は出入り口のドアを背にいて、机に向かって座っています。

 部屋の入り口のドアの外は、無意識です。

 どんなことをしても、ドアの外を検閲官は見ることができません。

 無意識にある心を意識することはないのです。

 ドアから人が入ってくることがあります。

 しかし、検閲官はドアを背にしていますから、入ってきた人を見ることはありません。

 このように、部屋にいるけれども、検閲官の視野に入っていない人がいます。

 意識される可能性はあるけれども、意識されていないもの、これが前意識状態にあるものです。

 入ってきた人が歩いているうちに、検閲官の視野に入ったときに意識されます。

 検閲官は、部屋の中にいるものを一度に目で追うことはできません。

 意識されたものも、検閲官の目が、ほかのものに移ったとたんに意識されなくなります。

 ですから、前意識と意識の間は行ったり来たりします

 前意識と意識の境界ははっきりとしていません。
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