「自己実現」の誤解
マズロー(Abraham H. Maslow)は、はじめフロイト流の深層心理学を学んでいましたが、自分の子供が生まれたときに、深層心理学では、自分の子供の心さえ理解できないことに気づきました。
マズローはフロイト流の心理学から離れ、成長期の人間の心理学を作りました。
マズローは欲求を基本的なものから高度なものへ階層化しました。
人間の生存に必要なものを求める生理的欲求から、始まり安全欲求、帰属と愛情の欲求、尊厳の欲求、自己実現の欲求の5段階があるとしたのです。
学問を究めようとする元気で熱心なナースたちはこの考え方が好きなようです。
成長していくことをうまく説明しているようだからで、ナースたちもこの段階を自分に当てはめて、納得するのでしょう。
しかし、この「自己実現」という言葉が誤解の元になりました。
この三角形はマズローの欲求段階説として良く示されます。
しかし、この図はマズローが描いたものではなく、後世の人が描いたものです。
マズローは低次の欲求が完全に満たされてからその次の欲求が出るとは言っていません。
寒くても仲間といる方を好む人はいます。
ですから、このピラミッドはもっと、虫食いで凸凹のはずです。
自己実現は4つの基本的欲求とは別格です。
基本的欲求は「欠乏を充足しようとする欲求」ですが、「自己実現」は、「そうなりたい」と自然に願うものらしいのですが・・・。
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