「内側の空間」と「外側の空間」


 老人になると、「力」が少なくなり、「内側の空間」も少なくなります。

 では、その状態で動くには、何を使えるのでしょう?

 そうです。

 まず、「時間」を使えます。ゆっくりした動きになります。

 そして、「外側の空間」を使えるのです。

 老人になると、体を前に大きく倒して骨盤を前に傾けます。

 そして、よっこらしょと立ち上がります。

 「内側の空間」を使えない老人は「外側の空間」をたくさん使います。

 若者は前にちょっと傾いたら、そのまま立ち上がります。

 「内側の空間」をたくさん使う若者は「外側の空間」を少ししか使いません。

 左のアニメーションを見て、自分の体で確認してください。

 これが「『空間』は『内側の空間』と『外側の空間』の和である」という意味です。
老人によく見かける立ち方
若い人の立ち方

介助のヒント

 体の動きの悪い人は、「内側の空間」の狭い人です。

 その人が動くには広い「外側の空間」が必要です。

 あなたがその人を介助しようと思うなら、その人が動くのに必要な「外側の空間」に立ちはだかってはいけません。

 あなた自身がその人の動きにとって障害物になります。

 介助しようとするときには、その人の動きの方向を感じて、自分がその方向に行くことを邪魔するところに立っていたら、自分の体を移動させることです。

 そのためには、あなたは歩くことが必要かもしれません。

 「基底面を広くして重心を下げる」は動かないものを運ぶには良い方法かもしれません。

 しかし、それにこだわっていては、動く人の介助はできません。