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コンフルーエンス confluence

融合の図 「私たちの病院は地域住民に選んでいただける病院にならなければなりません」

 これはかつて働いていた病院の院長があるとき、職員への挨拶で話した言葉です。

 とてもいやな感じを受けました。「選ばれる病院にしたい」というのは院長の考えです。

 「この病院は・・・」と表現するのなら自然です。

 「私たちの・・・」とつけると、私と院長の「境界」が無くなります。

 このように、「私たちは・・・」とか、「私たちの・・・」と表現することは、自分と環境(他の人たち)との境界が不明瞭になっいます。

 内側の世界と外側の世界の歯車がかみ合って、軋轢を生み出しているのですが、どこでギシギシ言っているのかがわかりません。

 オリエンテーションがついていません


 生まれる前は母親の胎内で文字通り融合していました。

 生まれてからは皮膚を密着させて融合しています。

 ですから、生まれたときの赤ん坊は「自分」というものを知りません。

 融合した母親を自分の一部と思い、所有物と思っていますから、次の子どもが生まれて母親を取られると、非常な喪失感を受けショックになります。

 しかし、その後は自分の境界を知り、自立していきます。

 融合は、子離れしない母親にも見られます。

 結婚してまで、食事のことを気遣う母親は子どもと融合したままです。

 また、娘を持った父親の多くも娘と融合します。

 娘は他の男を見つけて去っていくとわかっているのに、娘と融合している父親をたくさん見ました。

 閉鎖的なグループ、たとえば政治や宗教のグループにも同様のことが言えます。

 周囲から弾圧されればされるほど、融合が高まって、自分と集団を同一視します。

 融合すると、グループの中は一つになりますから、「みんな同じでなければならない」と考えるようになります。

 制服をいやがる子どもは融合を嫌っているように見えますが、他人の目や流行を気にしないで服を選べなければ、やはり融合しているのです。

 融合すると、自分と環境の境界が無くなりますから、何をしているのかがわからなくなります。

 混乱し自分で決定できなくなります。

 苦しくなります。

 「私たちは・・・」と話し始めている人は、融合の状態にあるかもしれません。

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