基本体位の省略 3

 「回転と伸展」、「回転と屈曲」を自然に行えば、寝ていたところに立ち上がることができます。

 また、立ち上がるときの動きをそのまま逆にたどると、安全確実に「歩く移動」で床に寝ることができます。

 このアニメーションの動き方では、体の重さを地球に流すのは、右半身の役目です。

 骨が重さを地球に流しています。

 右半身の筋肉が、骨格を維持させています。

 左半身の筋肉が、骨格を変形させています。

 
 基本体位のビデオ

 ユーチューブで、フェルデンクライスメソッドのムービーとしてアップされている中に、基本体位の移行そのものがあります。

 ここにあります。(2007/09/07確認)

 このムービーでは、プラクティショナーが、クライアントの骨盤や胸郭に手を当てて、骨盤や胸郭の動きを誘導しています。

 もちろん、クライアント役の人は動き方を理解し、そのように動くことを許していますから、きれいに動くのです。

 (ついでに、四つんばいから片膝立ちになるときに、左膝でなく、左足に重さを流してくれると、足を揃えて立てます。へへへ、お節介です)

 これを被介助者を手伝うときに応用すれば、介助そのものになります。

 ただし、一般の被介助者は、「動き方を教わる」なんていうことは理解していないので、そのままにできることはありません。

 また、本人の習慣となっている動きを理解しなければ、ただの押しつけになります。

おまけ

 基本体位を理解すると、畳一枚の面積の中で寝て、座って、立って動けます。

 織田信長は舞を好みました。

 織田信長の好んだ謡曲「敦盛」の一節です。

 

 座して半畳寝て一畳、天下とっても二合半

 人間五十年、 化天のうちにくらぶれば夢幻のごときなり 

 一度生を受け滅せぬ者のあるべきか

 

 人間が座るのに必要な場所は畳半分、横になって寝たところで、畳一枚。

 世界を征服した人でも一日二合半以上の米はいらない。

 八千歳の寿命を持つという化楽天に比べれば、人の寿命は50年で夢や幻とおなじく、短くてはかない。

 この世にひとたび生まれてきて、滅びないものはない。


 人間の実際を直視する言葉です。

 畳の上でごろごろして体の動き方をゆっくりと味わいながら、信長の好んだ謡の言葉を楽しんでください。