「重さ」と「重心」

 この実験はとても大きな意味があります。

 重さが坐骨結節から座面にかかっていると感じることが大切です。

 人間は「重さがかかっている」ことを感じます。

 人間は、けっして重心の位置を感じることはありません。

 重心は物理の概念です。人間の頭で作り出した想像上の点です。

 人間の感覚では感じられないものです。

 人間が感じられるのは、接触と動きの感覚です。

 立とうとするときには、接触と動きの感覚で「重さのかかっているところが移動した」と感じます。

 このように、「重さのかかっているところが変わる」と感じることを、「重さは流れている」と表現します。

 キネステティクの本で、Flusigkeit 流動性と書かれます。

 感覚から、自分の動きを捉えると、重さには「流れる」という性質があります。

 この表現を認めると、以下のように表現できます。

 

キネステティク的表現

 椅子に座ると、頭、胸郭、上肢、骨盤の重さは骨盤の坐骨結節から椅子の座面に流れています。

 大腿、下腿の重さは足から床に流れています。

 立ち上がろうとすると、骨盤は前に傾きます。

 そのときに、骨盤の重さは大腿に流れます。

 おしりが座面から離れる直前に、重さは大腿骨、下腿の骨を通って、足から床に流れます。

 お尻が座面から浮いた後は、全身の重さが足から床に流れます。