側頭骨の関節窩の中で、下顎骨の関節突起は前後に動きます。

 関節突起の前にある高まりは、関節隆起と呼ばれます。

 関節突起は関節窩の前方へ移動し、関節隆起の下まで行きます。

 顎の角を俗にエラと呼びます。

 エラと、関節突起に人差し指と中指の指先を当てて、楽に口を開けたり閉めたりしてください。

 関節突起が前に行き、エラが後ろに行くままにすると、その回転の中心が感じられます。

 上の歯の並びの延長で、顎の骨の下縁の延長が交わったあたりが中心に動いているように感じられるでしょうか?

 そのようにして、口を開くと大きく開くように感じませんか?

 そのようにして口を開いて、「アー」と声を出すとき、自分が声楽家になったような気がしませんか?
 
 この下顎骨が動く中心を右のアニメーションで黄色い○として示しました。

 この○は、ほぼ後頭顆から軸椎の間にあるようにわたしには感じられます。


 あなたも自分の顎を動かして楽な動きの中心を見つけて下さい。

 もし、ここを中心にして顎を動かし、口を開けば、頭の骨は動きません。

 頭蓋骨は頸椎の上に安置されたまま、口を開けることができます。

 逆に、顎関節を中心にして顎を動かして口を開けてみてください。

 ほら、なんとなく、頭まで動かしたくなるでしょう。

 顎は顎関節を中心に動く「ちょうつがい」ではありません。