頭をうなづいてから首を曲げると、頭と胸郭の間が遠くなります。

 これをキネステティクでは、「頭を屈曲させると、頭と胸郭は離れる」と言います。

 これは頭と胸郭の物理学的な距離について言っているのではなく、体の中で起こっていることを、感覚で判定した表現です。

 実は、すべてのつなぎ目は屈曲の時に広がります。

 つなぎ目の空間が広がるから、つなぎ目は曲がることができます。


 つなぎ目の空間が狭くなると曲がれません。

 体をまっすぐにしたときは、解剖学では「伸展」という言葉を使います。

 しかし、感覚で調べてみると、つなぎ目の空間がすべてつぶされています。



 はじめから首を曲げて、その後から「うなづく動き」をしてみてください。 

 うまくできないでしょう?

 「うなづく動き」をしないで、首から曲げると首は十分に曲がりません。

 左のアニメーションのような首の使い方は、首を痛めます。

 でも、このような乱暴な動き方をして、「首が痛い」とか、「肩がこる」と言っている人は多いものです。



実験


 右手を目の前に出して、ゆっくり握ってください。

 指先から、指を丸めるようにして握って、手首も曲げてください。

 つぎに、手首を曲げて、その後、手のひらを曲げて、最後に指先を手のひらの中に入れるようにして握ってください。

 おなじようにして、手を広げてみてください。