「内側の世界」と「外側の世界」の食い違いを減らすことが、楽に生きるためには大切だとカーシブスキーは言います。

 「外側の世界」を「内側の世界」のイメージに正しく映し出すことは簡単なはずなのですが、イメージを作るまでのいろいろな段階で、ノイズが入ってきます。

 聴覚では、文字通りの雑音が入ってきますし、視覚では光の加減で見づらかったりします。

 味覚、嗅覚も変化します。

 ケーキの後のレモンはことさら酸っぱく感じますし、ハーブの香りで肉の臭みは消えます。

 また、知識や習慣の影響を受けます

 「記憶と思考」により、感じているものが変化します。

 「神経と筋肉の生理学」で説明したような「体の緊張」は習慣的行動を「楽だ」という感覚と誤認するところから生じています。

 「習慣」が自分の感覚を変性させています。

 システム理論的に言えば、「内側の世界」は、「感覚、イメージ、思考・記憶が構成要素であるシステム」を作っています。

 認知科学では、これらのイメージを内的表象系と呼び、内言や内的表象系を記号として、記号と対照、記号と記号を結合するのが、「心」の働きと考えます。

 この記号と対象との結合が意味です。それを扱うのが「意味論」です。