認識と認知 3

 1956年9月、マサチューセッツ工科大学(MIT)で、ダートマス会議が開かれました。

 この会議を開いた趣旨は、「学習と知性のすべてが機械でシミュレーションされることで解き明かされるかもしれない」ということでした。

 ここで、9月11日に心理学者のジョージ・ミラーが"Magic Number Seven"という発表をしました。

 これは、短期記憶の容量が7±2であるということです。これが「認知科学」の誕生と言われます。

 この後、いわゆる人工知能を中心に「心理学」、「計算機科学」、「脳神経科学」、「言語学」、「論理学」など、さまざまな学問が、人間の認識を扱うために集まりました。

 1977年に"Cognitive Science"という学術雑誌ができて、1979年、認知科学学会 Society for Cognitive Science ができました。

 哲学から発生して受動的なニュアンスを内在する"recognition"という言葉を避けて、主体的に知るという意味を好んで、cognitive scienceという言葉が使われたようです。

 日本語で「認知科学」と翻訳されました。まだまだ、若い学問領域です。

 というわけで、認識という言葉は、哲学から心理学の言葉、認知はそれ以後の認知科学の言葉です。

 
実質的な意味に大きな違いはありません(私の中では)。

 言葉から事実を定義するのは、ばかげています。

 事実に合わせて言葉を使うことが、上手に言葉を使うために大切だというのは、「一般意味論」で教わりました。 
 このサイトでは、認識も認知も区別しません。どうせ、まだよく分からないことばかりなのです。

 大切なことは、「よく分からないもの」を「よく分からないもの」とあるがままに認めて対処することです。