構成要素と「全体の動き」

 システムの構成要素は、「システム全体の動き」を知ることはありません。

 
構成要素はほかの構成要素とのインタラクションとして、全体に何らかの変化が起こったことは知りますが、全体がどのように動いたかはわかりません。

 ですから、社員には会社全体の動きはわかりません。

 構成要素のサブシステムの中でも同じです。サブシステムの構成要素がサブシステム全体の動きを知ることはありません。

 人間をシステムとしてみたとき、心臓は人の構成要素であるサブシステムです。

 心臓は体全体がどう動いたかはわかりません。

 神経や、ホルモンの変化にあわせて活動しています。

 それが十分ですし、それ以上は過剰になります。

 また、心臓を構成する心筋の細胞は心臓全体のことはわかりません。

 心筋自体がどのくらいのびたか、酸素はどのくらいか、温度はどのくらいかという、その心筋固有のものしか知り得ません。



 システムでは構成要素は、周囲との関係=インタラクションにより行動が変化します。

 全体の動きは、直接関係しません。

 
 ムカデもシステムです。

 足は隣の足とのインタラクションをしています。


 足が全体の動きを知る必要はありません。

 ロボットの歩行制御も、各パーツに自分のことだけ知覚して制御する方式に変えるとうまくいきます。