ムカデの足はなぜ絡まらない?

 ムカデの足は、まるで波打つようにリズム正しく、動いています。

 なぜあんなにたくさんある足が、絡(から)まらないのでしょう?

 ムカデの脳はあんなにたくさんの足の位置を把握して、計算して順繰りに動かすように指示しているのでしょうか?
 
 平地ならまだしも、凸凹したところや、材質の違う境目を移動するときに、いちいち計算したり、予測したりしなければならないのなら、ムカデは考えるだけで疲れ果ててしまい、長生きできないでしょう。

 従来のロボットの歩行制御は、すべてコンピュータで計算させていました。

 そのときの足の位置、重心の位置、速度、傾きを入力して計算して、次の動きを計算していました。

 すべての数値が与えられたら、未来を確実に予測できるというアリストテレス的考え方でした。

 だから、こけました。ちょっと変化するだけで、「予想もしなかったこと」が起こるからです。

 ムカデやゴキブリは計算しません。

 足がかってに動きます。一つだけルールがあります。

 「隣の足をじゃましない」

 これだけで、秩序が生まれます。そのときの状況に合わせて、リズムが生まれます。

 これが、何でシステム理論なのか?