アルバート・エリスは論理情動行動療法(Rational emotive behavior therapy:REBT)を提唱しました。 (2006年、状況は一変しました。「エッセイの」「アルバート・エリスの実践」を読んでください。) わたしはこの人が好きです。理屈っぽいけど、人間です。 エリスは2007年6月に亡くなりました。 エリスの基本的仮説は以下の2つです。
説明しましょう。 1. 人生にとって、過去は決定的ではない。 フロイトに始まる精神分析では、クライエントの「過去」が現在の人格の形成を決定して、子どものときの体験がその人の行動を説明する要因と考えられていました。 しかし、エリスはそのように「過去」を過大に評価することが、苦しさを生む元であると考えました。 人間は「今、ここで」生きているから、明日があります。 過去に起こったことをほじくり返しても過去にさかのぼってまで修正できません。 その人が「現在」持っている問題は、その人の持っている人生観、価値観に大きく関係しています。 ですから、問題の解決に必要なのは、「過去」ではなく、「現在を認める」という人生観、価値観の再学習です。 しかし、この再学習に気づかないので、多くのクライエントが悩んだいると見ました。 2. 「感嘆文」を使うことで、その「言葉」で自分自身に誤った認識を教え込んでいる。 人間は考えるために、「言葉」を使います。言葉は言語に限定されません。絵画、記号、数式という記号も思考に使う「言葉」です。 周囲にある具体的事実を抽象化して表現するものが記号であり、思考に使うと「言葉」になります。 このへんは、「内言論」や「一般意味論」、サイバネティクスでも出てきます。 人間は、このような「言葉」を使うことで、自分自身に話しかけ、「考え方」を自分で自分に教育しています。 この「言葉」の使い方がうまくできないと、自分自身で非合理的な感じ、感情や行動を造り出してしまい、苦しみます。 |
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