介助の時間と空間


 人を介助するときにも、「時間・空間・力」の概念は大切です。

 老人や介助を受ける人に、「力」はありません。

 そのような人は「力」を出して動くことはできません。

 「力」の代わりに、「時間」をかけて動くことができます。

 「力」を使わずに、「時間」を使うことで、同じだけの「空間」を移動できます。

 老人や患者さんには、「力」ではなく、「時間」が必要なのです

 同じ動きに同じ時間しか与えられなければ、「小さな空間」、つまりちょっとしか動けません。

 「力」のない老人を介助するときには、「力」を与えるのではなく、「時間」を与えなければなりません。

 「時間」を与えて、一緒に動いてみると、その人の「時間」、「空間」、「力」の使い方の不自然なところがわかるようになります。

 「力」ではなく「時間」をたっぷり与えて、「空間の上手な使い方」に気づかせてあげると「ありがたい」介助になります。

 「空間の上手な使い方」というのは、ラバンが考えたように、「まっすぐ動く」のではなく、「曲線的に動く」ことです。

 「時間」を与えなければ、老人は「自分は動けないもの」と思いこんで、全く動かなくなります。

 「そのほうが介助の邪魔にならない」と思いこんでいるからです。

 今までのケアが「被介助者をコンパクトにまとめる」と教えているからです。