私の知っている「優しいナース」たちと飲む機会がありました。

 その一場面を切り出してみます。


 集まったのは私のほかにナースが4人です。

 病院勤務の東野さん、訪問看護師の加藤さん、老健施設のケアマネージャになった旭さんの3人は以前から知っている「優しいナース」です。

 ひとりは今回初めていっしょにお酒を飲む内藤さんです。

 内藤さんは東野さんと同じ病院に勤めています。

 加藤さんから、「内藤さんは豪快だから・・・」と言われています。

 あっ、すべて仮名です。

 東野さんは1週間前に同じセミナーに参加していました。

 お昼をいっしょに食べました。

 そのときに、患者さんの入院に当たって、目標を設定するのが難しいと話していました。

 5人でいろいろな話をしていました。

 病院勤務の東野さんは看護診断を使うことを求められていると話しました。

 退院後の訪問看護をおこなう加藤さんと、介護保険のケアマネージャの旭さんはICF(国際生活機能分類)で、生活の中の利用者をみることを求められていると言います。

 わたしからみると、疾病分類に近い看護診断よりICFのほうが、キネステティクの健康の概念に近いと思うなどと話していると、東野さんから「今は入院すると、退院後の生活まで視野に入れて看護目標を立てなければならないので苦しい」と言われました。


 さあさん 「東野さんは、将来を予測して目標を立てようとするから、苦しいんだよ。将来は現在ではないから、確定できない。患者さん自身も決められない。プロセスとアウトカムは違うものなのだから、アウトカムが目標に達していないからといって、そこまでのプロセスが否定されるものではない。」

 東野 「でも、さあさん。わたしたちは『それをしなさい』って求められるんですよ?」

 さあさん 「そう、そして、それができないから東野さんは苦しんでいる。自分が苦しんでいるのに『それを期待されているから、しなければならない』と思いこんでいる『いい子ちゃん』の自分が苦しめているのだと思うよ。交流分析で言うところのACだよ」

 内藤 「えっ、東野さんて看護計画の時にそんな先のことまで考えて苦しんでいるの?わかんない。どうして、どうして、そんなに先まで考えなきゃならないの?」

 加藤 「あー、内藤さんはいいよねぇ、いいキャラしてる。内藤さんはわからなくていいの、ねぇ、東野さん。」

 東野 「ははは、そうね、内藤さんはそんなこと悩まないよねぇ」

 内藤 「どうして、そんなことに悩まなきゃならないの?わかんないわぁ」

 東野 「いいの、内藤さんは。それが内藤さんのキャラだから」


 「期待に応えようとすることが優しいこと」と東野さんは思っています。

 東野さんと1週間前にあったときに、わたしは同じ話題で話していますから、これが2回目です。

 ということは、東野さんの中ではとても大きな問題なのです。