わたしは何人かの「優しいナース」を知っています。

 「優しくないナース」もたくさんも知っています。

 優しくないナースがたくさんいる病院では、「私たちは優しい看護をめざします」という理念を掲げていたりします。

 そんな病院では、「患者さんには優しくしなさい」と指導しています。

 でも、そんな教育で成果が上がるのなら、すぐに優しいナースばかりになります。

 そうなれば、「優しさ」を看護部の理念になんかしなくてよいのです。

 というわけで、現実は「優しくしなさい」といっても、優しくないナースが多いから、理念に掲げます。

 「優しいナース」は野生動物の絶滅危惧種のようなものです。

 「優しさ」とは何なのでしょう?


 宴会の料理を取り皿にとってくれて、「優しい振り」をする人もいます。

 でも、私が食べたいかどうか、自分で食べたいだけとりたいかを聞いてくれることはありません。

 私は「自分でできることをする」という自分の主張を認められないので苦しくなります。


 また、不思議なことに私の知っている「優しいナース」は、たいてい苦しんでいます。

 他人に優しくするために自分が苦しくなるのです。

 「優しくしよう」と努めるほど苦しくなります。

  「優しさ」とは何なのでしょう?