左のイラストのように両手を頭の下にして仰向けに寝てください。そして、眉を上げ下げしてみてください。
口を開ける必要はありません(前ページのアニメーションではおもしろいからあけてみました)。
なにかが動くのを感じませんか?
頭の後ろで小さな筋肉が動きます。その筋肉は後頭筋と呼ばれます。
実は前頭筋と後頭筋は一つにまとめて「後頭前頭筋」と呼ばれます。
「後頭前頭筋」はまるで一つの筋肉が頭蓋骨の圧迫により途中で伸ばされたようになっています。
真ん中の引き延ばされた部分は頭蓋骨の上に薄いけれど強靱な膜(腱膜と呼びます)を作ります。
頭蓋骨の上に帽子のように被(かぶ)さっているので、「帽状腱膜」と呼びます。
左のイラストを見ると、眉を上げるときに、何が起こっているかわかるでしょう。
眉は頭の後ろの骨に向かって引っ張られるのです。だから、眉を上げると頭の皮が動きます。
頭の皮の動く人は、「頭が緩い」のではなく、後頭筋まで使うことのできる「頭の柔らかい人」です。
この後頭前頭筋は、左右二つに分かれています。なんと、別々に動かすことができます。わたしは大学生の時に練習して、できるようになりました(エッヘン!)。
えっ、「こんなことを知っても役に立たない」と言いますか?
大切なことは、「役に立つ」とか「知る」ということではなく、「気づくこと」なのです。
眉を上げるという単純なこと、普段何気なくやっていて、気にしないことにさえ注意を向けて、そこで起こっていることに気づくことが「生きている」ことを深めることです。
これから、あなたは驚いたときに、自分が今、何をしているかに気づけるようになるかも知れません。
そうなれば、自然に上手に驚くことができます。
そうすると、表現力の豊かさや演技のうまさを買われて、俳優になれるかも知れません。