ストーマケアと心理


 「落ち込み」から「敵対」に向かわずに、周囲の変化をだんだんと受け入れる人もいます。

 「だんだんと受け入れる Gradual acceptance」は、非常に大切です。

 すぐには受け入れられません。

 人間はどんな小さな変化もだんだんと受け入れるのです。

 「危機理論」は、人間が環境とともに生きていること、環境の変化を受け入れるのには時間がかかることを言っています。

 「だんだんと受け入れる」ことを認めない人は、「患者が早く受容できるようにしなければならない」と言います。

 医療者側の都合で、患者さんの「だんだんと受け入れる」能力を狭めるかもしれません。

 問題を抱えた患者さんにとってまず必要なものは、理解力でもなく、知識でもなく、説明でもなく、優しい言葉でもなく、だんだんと受け入れていく「時間」なのかもしれません。

 そして、この「だんだんと受け入れていく時間」は、医療者にも必要かもしれません。


 成人が新しい環境になじんでいくことは、こどもが学習することと同じです。

 ハンガリーの小児科医のエミーピクラーはドイツ語圏では有名です。

 小児の発達・学習の権威です。

 ピクラーがこどもの発達について書いた本の表紙には、赤ちゃんの写真が載っています。
 
 その本の題名は、”Lasst Mir Zeit 私に、時間をください” です。