これは、某看護師から「暇つぶしに読んでください」と送られてきたメールです。
個人が特定できないように、一部、隠しました。
事実はそのまま。
TO さあさん |
上の青文字で示したところは、キネステティクスやフェルデンクライス・メソッドという共通のツールがあるから理解できるところです。
ここにキネステティクスの科学性があります。
共通の体験から、ある言葉に共通の意味を与えているのです。
上の青文字の言葉を、通常の日常生活の言葉で理解すると、理解不能です。
ですから、今、これを読んでいるあなたが理解できなくてもおかしくありません。
でも、キネステティクスのセミナーを受けていると、理解できるのです。
このように、キネステティクは、共通の辞書を持つためのツールです。
このツールを持った人が、動きについて情報を交換できます。
記録を残せます。
ですから、ドイツでは看護診断の記載に役立つだろうからと、普及されているのです。
言語化のツールです。
しかし、このメールの送り主は、言語化のツールとしてのキネステティクを広めたいと思っていません。
このメールで自慢したかったことは、「その時の表情の変化がとても面白かった」です。
キネステティクの実践を続ける理由はここにあります。
「おもしろい」のです。
介助される人が、変化することがおもしろいのです。
このメールのようにすぐ変化することもありますし、時間をかけてゆっくり変化することもあります。
いずれにせよ、変化を作れることがおもしろいのです。
そして、変化は情報ですし、自らの行動に対するフィードバックでもありますから、生きている実感を与えてくれるのなのです。
だから、このメールが送られてきたのでしょう。
「暇なときに読んでください」と書いてきたのは、「時間をかけて、ゆっくり読めよ。忙しいときに、読み飛ばすな」というメッセージなのでした。
赤文字で示したところは、現在の医療・看護の問題点です。
褥瘡対策にもっとも必要なことは、「動きの支援」、「動きの教育」なのですが、それを提供できる医師や看護師がとても少ないのです。
褥瘡の発生予想のスケールを作っても、その後の対処方法が貧弱では効果が上がりません。
また、対処方法が進歩すれば、スケールは変ります。
現在、看護学で薦められる褥瘡予防のスケールの「動きの評価」が貧弱なことは、介助という手段についての教育、支援の能力が貧弱なことを物語っています。
このメールを送ってくれた看護師に期待しましょう。